2019年12月13日金曜日

三田医院 岡山市医師会医学会 2011年フクシマ原発事故による放射能汚染、東京から避難移住した一開業医が 東日本、首都圏、さらに岡山の健康被害を考える

三田 茂 医師 2018年岡山

2011年東日本大地震により、福島県の東京電力原子力発電所群は原子炉の温度制御ができなくなり次々とメルトダウンし大爆発をおこした。 大量の放射性物質が空中、水中に放出され、その8割は東方の海を、2割が東日本の土地を広く汚染したと考えられている。 原発から200km離れた首都圏は、3月14,15日の「プルーム」放射性雲と20,21日の降雨「フォールアウト」で大きく汚染され、放射線管理区域基準を上回る線量を示す「ホットスポット」が各地に出現した。 東京の開業医であった私は、甲状腺検査のみでなく、電離放射線検診に倣い血液一般検査、白血球分類検査の実施を呼びかけ、乳幼児から高齢者まで4000名以上に行ってきた。 検査を受けたのは主に首都圏の居住者で、北関東、東北居住者の数は少ない。 鼻出血、皮下出血斑、リンパ節腫脹、皮膚炎や喘息の悪化、視力低下、繰り返す下痢、口内炎、脱毛、血尿などの身体症状や、記憶力低下、易疲労性などの精神神経症状を訴える人達と、症状はないがヒバク影響を心配して当院を受診する人達がその対象である。 症状の頻度、程度は個人差がとても大きく、体質的に或いは知的に敏感な感受性の高い人達が飲食や生活の厳重な注意をしながら受診しているのであって母集団としては偏りがあることを踏まえたうえでの一考察である。 ⭕ 東日本、首都圏の放射能汚染の程度についてのデータを提示する。 ⭕ 現在まで強い変化として観察している小児の白血球データを提示する。       (好中球の減少、異型リンパ球の出現について) ⭕ 生化学検査値と近年の疾患とくに感染症の流行に対する違和感について。 ヒロシマ・ナガサキのヒバクシャにおいて「慢性原子爆彈症の後障碍」として昭和20年代に研究された、社会問題としては「ぶらぶら病」として認識されたものと非常に類似した諸症状が2016年頃より目立ちはじめた。 ⭕ 「新ヒバクシャ」の「能力減退症」という概念の提唱。 ⭕ 脳下垂体ホルモン、副腎皮質ホルモンレベルの低下傾向と治療について。 ヒバクは純粋な医療、医学の問題として今まで充分に検討、研究されてきたと言えない点で、また政治的配慮が入り込む点で古くからの公害問題と似ていて、我々医療者の苦手とする分野である。 様々な体調不良が確実に改善することから移住先として一番人気の高い岡山で、諸先生方の理解と協力を得て、歴史的に今までは諦めるしかなかったヒバク関連症状を解明し治療する可能性を模索したい。


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